2010年10月10日日曜日

この古家。This Old House

<先週まで日本に行ってて更新が滞ってしまいました。久しぶりの更新です。ブログタイトルも少し変えてみました。>

アメリカの大学で建築を勉強し、設計の仕事に携わっていたものの、古家の改築は、全く違った知識と技術を必要とする仕事でしたので、ほぼ独学で、手探り状態で始めました。
そうした中で、大変強い味方になってくれたのが、テレビ番組のThis Old House(この古家)www.thisoldhouse.com/toh/tv/house-projectです。アメリカの公共放送サービス(PBS)で30年以上続いているDIY番組の草分けで、アメリカ人ならほぼ誰でも知っている長寿番組です。90年代には、この番組のパロディ番組(www.imdb.com/title/tt0101120/)も人気番組となり、何年も放映されていたぐらいです。

This Old Houseでは、毎シーズン一つの古家を修復、改築していきます。作業を担当するのは、各分野の高い技術を持った職人さんたちです。屋根材の貼り方、窓の取り付け方窓の取り付け方便器の取り付け方など、家に関わるあらゆる作業について、新しく開発された材料や、便利な道具の紹介を取り入れながら、コツも含めて説明してくれるのですが、何より、職人さんの手元を大写しにして、実際の作業を丁寧に見せてくれるので、とても参考になります。また、物件の歴史的な背景のリサーチもしっかりと行っており、修復すべきところは修復し、新たに増築する場合なども、その家の元からの様式を尊重しつつ行うところが好ましく感じられます。

アメリカには、DIY Networkという、DIYの専門ケーブル放送局があるのですが、この放送局の番組には、単に消費を煽っているだけのお粗末な改築番組が多く、ソファでごろごろしながら観るのにはいいですが、あまり勉強にはなりません。

This Old Houseの放映が始まった30年前頃から、多くのアメリカ人が、古家を愛でる楽しさに気づき始めました。ちょうど、積極的に過去の様式を参照するポストモダンが、流行の建築様式となるタイミングだったという大きな流れもありますが、この番組の貢献は大きかったと考えられます。

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2010年9月21日火曜日

古民家のオバQ化

モダン様式が世間を席巻していた頃、レンガ造りの古民家の外壁は白ペンキでべったりと塗られ、木のサイディングや細部の飾りは、アルミやビニールのサイディングで覆われ、隠されてしまいました。草の根古民家愛好家たちが、それを少しずつ元に戻しつつあるのですが、未だに時代錯誤の改装を続けている工務店も数多くあります。

ジャージーシティーで今年に入ってから行われた改築の例なのですが、









傷んでいるものの、チャーミングな細部にあふれる第二帝国様式の古民家が2ヶ月後には、ビニールプラスティックのサイディングをかぶせられ、つるっとオバQのようになってしまいました。

玄関のダブルドアも、安物の一枚ドアに替えられてしまい、窓も一つ潰されています。

ジャージーシティの中でも一部の地域は、歴史的建造物のある地域として、町並み保存の対象となっているのですが、この家や、以前ご紹介したクイーン・アン様式の屋敷群などは、あまりきれいとも言えない町並みの中に点在しているので、保存の対象としてもらえず、このようなかわいそうな結末を迎えがちです。

ちなみにこの家は、改築後、元の値段の3倍の値段で売りに出されたのですが、景気が悪いのと同時に、家の魅力をそぎ落とされてしまったために、もう半年近く売れずにいます。

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2010年9月20日月曜日

天井は高いほうがいい。

工事は着々と進行中ですが、今回は工事から若干離れて、長屋と照明についてです。

築百年くらいの古家は決まって天井が高いです。特に町屋の長屋スタイル(Row house)の場合その高さが際立つようです。この時代の長屋で両隣とは壁で接している場合、敷地の間口が15フィート奥行き100フィートというのが割と一般的です。(物によっては17フィートや20フィートの間口という場合もありますが、こういう物件は高級なものが多いです。)

この敷地に幅は隣と接するまで、奥行きは 大抵50フィート程の長屋が建つのです。

15フィートというと15尺、または2間半。もしくは約4.5メートル。通路や階段の分の幅を確保すると部屋として使えるのは大抵残りの11フィート程(約二間)になり、部屋の形状は細長く窮屈な感じになってしまいそうです。

ところがこの時代の多くの長屋は、その窮屈さをあまり感じません。天井が高く、上に向かって開放感が感じられるためです。

工事進行中の古家は長屋ではないので、それほど高くはないのですが、天井だか9フィート(2.7Mメートル)。






つい最近、再生完了した古家は長屋で、これは10フィート8インチ(3.2メートル)あります。

これくらい天井高さがある部屋には、その高さをいかして「吊り下げ照明」がよく似合います。












部屋ごとに違った照明をつけることでそれぞれ印象が違ってきます。

ちなみに、この二つの照明はオンラインのLighting Universeというところで買いました。照明のアマゾンドットコムのようなところで、ものすごく多くの種類の中から、ほぼ大抵の場合、予算が合いデザインが気に入ったものが見つかります。










これはまた別の長屋ですが、このときはIKEA USAにお世話になりました。もちろん値段は申し分なしでした。
























工事進行中の古家の照明はこれから選ぶことになります。どんなのにしましょうか。
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2010年9月19日日曜日

DIYとツールレンタル

工事や改装をするときには必ず道具が少なからず必要になります。ドリルやハンマーなどは日曜大工をされるような方の家にあると思いますが、普段の生活では使わないような道具や機械類が必要な場合が生じます。例えば古いウッドフローリングを仕上げ直すときや、コンクリートの土間を壊したいときなど。そんなときには以前紹介したことのあるHome Depot (ホームディポ)のツールレンタル部門に行きます。(ホームディポに関しては後日紹介させていただきます。)

このホームディポはDIYの専門店で、ここに置いてあるものだけで家が建つほど基本的なものの品揃えが豊富で価格も低いので、とても重宝しています。全米に2000店舗以上展開し、我が古家の近所にも2店舗あります。日曜大工のみならず本職の工事業者も利用しています。

これはかつてやったプロジェクトですが、床を軽く削って仕上げるときに使った道具です。四角い台のように見える部分に丸い紙やすりが四つ並んでいて、それぞれが回転して床の表面を削れるようになっています。

一日借りて50ドルほどでした。それにサンドペーパーの替えが別途必要。




床の損傷が激しい場合は写真左のドラムサンダー(Drum sander)と同右のフロアエッジャー(Floor edger)を使うと仕事がはかどります。ドラムサンダーは幅12インチ程の帯状のサンドペーパーがドラムの周りを回転し、前に進みながら床を削って行きます。ドラムについては、野球場やテニス場の整地に使う鉄のローラーを小さくしたようなものを想像していただければよいです。

ドラムサンダーだけでは壁際が削れないので、際用のエッジャーと併用して作業を完了させます。


これは前回の天井張りの時に借りたパネルリフターです。











そしてもうひとつ、とても便利なのが、トラックのレンタル。75分で20ドル。店に何台かあるので大体待たずに借りれます。これで石膏ボードなど大きな重いものを一度にたくさん運んでしまいます。ただ、自分の自家用車の屋根に乗せて紐で縛って持ち帰る人も多いです。私の場合も、余程の場合でない限り、SUVの屋根に乗せてしまいます。

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2010年9月15日水曜日

天井を新調

今日は天井を張ることにします。

先ずはメダリオンとそこにぶら下がったシャンデリアを取り外し










プラスターのオリジナルの天井が崩れ落ちて穴が開いた部分に石膏ボードをあてがいます。上の階の物音がこれでかなり聞こえにくくなりました。

既存の天井に胴縁(Furring channel)を取り付けて、 


一枚一枚石膏ボードをネジで留めていきます。今回一人での作業のため、重さを軽減するためにボードを半分にあらかじめ切ってあります。

標準規格の大きさは4フィートX8フィート(4尺X8尺)です。日本の標準は3尺X6尺だと思いますが、こちらの標準ボードを一人で取り回すのは骨が折れます。


ホームディポで借りてきた「パネルリフト」を使用。ちなみに一日借りて35ドル。








道具はとても使いやすくとてもはかどりました。







パネルの取り付けは無事終了しました。

遮音性はずいぶんと向上した上に、表面も平らになりました。この後は継ぎ目を塞ぐ作業になります。





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2010年9月13日月曜日

さよならメダリオン。百年間ありがとう。

以前に古屋のチャーム「古家のチャーム」の記事で紹介したメダリオンですが、今日外すことになりました。

これまた「天井の上に天井」の時点で、「下げ天井」は取り外そうと考えてました。というのは、パーラーとダイニングを一体化して、一つの大きなリビングルームにするために壁を取り外しましたが、下げ天井はパーラーのみでダイニングは原型の天井高。高さが2インチほど違うのです。







下げ天井があると天井高が2インチ程低くなるので、天井高さを統一させるために取り外そうと考えていましたが、この階と上の階との遮音に役立つことから、むしろ逆に利用することにしました。

ということで、それを残してさらに元ダイニングの天井には新たに下げ天井を追加することにしました。


これ(Furring Channel)を既存の天井に打ち付けて、石膏ボードを取り付けると丁度パーラーの天井と面一(ツライチ)になります。

ところが。。。




メダリオンが出っ張っていて収まりません。とても他に類を見ないデザインで、百年間この家に特徴を与えてくれていましたが、今回の改装をもってお役御免していただくことにしました。新しい天井には新たな意匠のメダリオンでチャームを加えることにします。

今までありがとう


石膏で出来ているので簡単に取れてしまいました。

実はこのメダリオンには百年前の建設当初はガス灯がついていました。もともとガス灯からでる煤の汚れをごまかすために付けられたのではないかとの仮説を立ててみました。(今後の探求の必要あり。)



ちょっと近づいてみると、照明の時代の変遷が見て取れます
中央にガス管が見えます。もちろん管は途中で切られていてガスは通っていません。

右側にたれているのが、今は使われていない、電気普及当時の電線で、いまでも二本の鉄の線が天井裏を距離を置いて走っています。(場所によっては現役で使われています。)

ガス管の左にBXケーブルという鉄の鎧に包まれたより安全で現代的な、現在使用されている配線が見えています。

今後、天井裏から見たガス灯用の配管もご紹介します。

さよならメダリオン。明日からは天井張り

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2010年9月12日日曜日

不動産市場と古民家改築

今日は不動産としての古民家について書いてみます。

アメリカでは、個人で購入した不動産を保持する平均年数は5年ほどと言われています。つまり、家を買っても、ほとんどの人は5年前後で手放してしまうのです。それは、アメリカの中古住宅価格が比較的安定している事によるもので、転勤族であっても、ごく当たり前に転勤先で家やマンションを購入し、再び転勤する際に、その不動産を売却して移動しています。現在のような、バブル前後の異常な市場状況などでない限りは、買った値段プラス物価上昇率ぐらいで販売する事ができますので、その家の売買でかかった費用と維持費を価格の上昇分と相殺すると、借家で生活するよりは安く抑えられる場合が多いのです。

それだけ中古住宅市場が成熟していますので、不動産の価値をざっくりと計算する方法も、一般的に知られています。もし、現在持っている家を、一ヶ月2千ドルで貸し出す事ができるとしたら、その家の価値は、一ヶ月の家賃の約100倍、つまり、20万ドルほどとなると考える事ができるのです。反対に、20万ドルの家を貸し出すとしたら、一年あたりの家賃収入は2万4千ドル、つまり、総資産利益率(ROA)12%あたりをターゲットとすべきだと考えられます。(もちろんそこから、空家であった期間の家賃分や固定資産税、管理・維持費等が差し引くと、純益ははるかに少なくなりますが。)

また、現在は、オンラインでほぼ全ての住宅の価値の見積り金額を無料で公開しているウェブサイトがあり、そのデータは必ずしも正確ではないのですが、住宅の価格を予測するための一助となっています。

さて、終の棲家である自宅の改築として古民家再生を行う場合は、趣味として、満足できるまでお金も時間も注ぎ込む事が可能だと思いますが、工務店が事業として継続的に行っていく場合には、その民家の不動産としての価値を考えた上で、再生にいくら投資できるのかを計算しなくてはいけません。私のビジネスモデルは、多少傷んでいる代わりに、その地域の家の相場より安い物件を購入して、その地域で可能な最大の家賃を取れる家に改築する、というものです。それは同時に、その家の不動産としての価値を最大限に引き上げる事でもあります。

しかしながら、ここで気をつけなくてはいけないのは、アメリカの不動産業界で言う「ホワイト・エレファント(白い象)にしない、という事です。ホワイト・エレファントとは、その地域に不釣合いな高額の投資を行った家の事で、別の言い方をすれば、土地の価格と不釣合いに家屋の価格が高い物件の事です。

例えば、犯罪率の高い地域に、マンハッタンの中心にあるような豪華なアパートを作っても、テナントに入居してもらうためにはそれなりに低い家賃設定とせざるを得ません。家賃を上げられない物件であれば、その物件自体の価値にも上限ができますので、売却の際は低めの値段設定をせざるを得なくなり、対投資効果が低まってしまうのです。

古民家を不動産として冷静に捉えて再生費用の計画を立てるのは難しい事ではありますが、事業を継続させる事が、より多くの古民家を救うことにつながると考えるようにしています。

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