アメリカの大学で建築を勉強し、設計の仕事に携わっていたものの、古家の改築は、全く違った知識と技術を必要とする仕事でしたので、ほぼ独学で、手探り状態で始めました。
そうした中で、大変強い味方になってくれたのが、テレビ番組のThis Old House(この古家)www.thisoldhouse.com/toh/tv/house-projectです。アメリカの公共放送サービス(PBS)で30年以上続いているDIY番組の草分けで、アメリカ人ならほぼ誰でも知っている長寿番組です。90年代には、この番組のパロディ番組(www.imdb.com/title/tt0101120/)も人気番組となり、何年も放映されていたぐらいです。
This Old Houseでは、毎シーズン一つの古家を修復、改築していきます。作業を担当するのは、各分野の高い技術を持った職人さんたちです。屋根材の貼り方、窓の取り付け方窓の取り付け方、便器の取り付け方など、家に関わるあらゆる作業について、新しく開発された材料や、便利な道具の紹介を取り入れながら、コツも含めて説明してくれるのですが、何より、職人さんの手元を大写しにして、実際の作業を丁寧に見せてくれるので、とても参考になります。また、物件の歴史的な背景のリサーチもしっかりと行っており、修復すべきところは修復し、新たに増築する場合なども、その家の元からの様式を尊重しつつ行うところが好ましく感じられます。
アメリカには、DIY Networkという、DIYの専門ケーブル放送局があるのですが、この放送局の番組には、単に消費を煽っているだけのお粗末な改築番組が多く、ソファでごろごろしながら観るのにはいいですが、あまり勉強にはなりません。
This Old Houseの放映が始まった30年前頃から、多くのアメリカ人が、古家を愛でる楽しさに気づき始めました。ちょうど、積極的に過去の様式を参照するポストモダンが、流行の建築様式となるタイミングだったという大きな流れもありますが、この番組の貢献は大きかったと考えられます。






